音読・福富草子絵巻

Narration: The Tale of Fukutomi


朗読:楊 暁捷 
製作:楊暁捷(X. Jie Yang)

 

第十一段 上巻
次の一段 現代語訳 先の一段

右クリックして、音声を保存する

右クリックして、動画を保存する


誠に秀武とも申さじ。
今日の才、清し。
御吏も、中将殿の召して、
紅の御衣給はりて、
何処より殿原に召し入て、
かく賜り集めたるなり。
この狩衣は、
小家に呼び入てくれたる。
我も々々と呼びくれども、
苦しかりつる程に
逃げて来ぬるぞ。
老は悲しき物なりけり。
若くば、日一日も歩くべき物を。

まして日々にかく賜はらば、
いくよしたまおとへる。
これも御前の教へ給て、
かくはあるぞかしと思へば、
悲しくこそはあれ。
かゝる才する人、
世に又あらばこそ
軋ろふ物もあらめ。
誰か軋ろふ人、
あな嬉しや、愛をしや。

麻呂教へども、御神の受けゐの給て、
かく目出度き名を付けし事、
世の事しあらざめり。


浅ましくこそ覚ゆれ。
富厚なりつる神の情け、
なりつる人のきなを見けん
するは、嬉しきはさかな。

これは、如何でかかる事なり。

これは如何なる神仏の
かゝる事は侍るぞ。
えも云はず服も、在しつれば、
如何にしてこの冬はいませんと、
見たてますつるに、
興な浅ましくこそ覚ゆれ。
世はかぎりも思ふ○○けり。

目次へ