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インターネット古文講座

KOBUN-Online

楊 暁捷  李 康民

6-2-4 格助詞:に

 

(一)動作・作用の時間を表わす。「十時に寝る」
例:
神無月に、御八講し給ふ。<十月に御八講をなさった>(『源氏物語』澪標)
宇多の帝の御時にうせ給にけり。<宇多の帝の時に亡くなった>(『栄花物語』月の宴)

(二)動作・作用の場所を表わす。「学校にいる」

例:
みかどにゐさせ給て、<帝のところにいらしゃって>(『栄花物語』月の宴)
内裏に御消息きこえ給ひて、<内裏にまで知らせが伝わり>(『大和物語』98段)

(三)動作・作用の目的を表わす。「空港に着く」「食事に行く」

例:
局に入りぬ。<局に入った>(『宇治拾遺物語』27段)
あかつき迎にこよ。<朝方、迎えに来い>(『宇治拾遺物語』27段)

(四)動作・作用の対象、結果を表わす。「車にする」「紙を半分に切る」

例:
ほのほを地に吹きつけたり。<炎を地に吹きつけた>(『方丈記』)
かたへの御方々にもいと情あり。<そばにいる女御たちにも情け深い>(『栄花物語』月の宴)
これは物語に作りて、<これを物語に仕立てて>(『栄花物語』月の宴)
資材を取り出づるに及ばず。<資材を取り出すことができない>(『方丈記』)

(五)比較・対照・累増などの基準を示す。「一年に過ぎない」「ケーキにコーヒー」

例:
容面、心、人に勝れたらば、<容姿、気立てはともに優れているので>(『宇津保物語』俊蔭)
住む人もこれにおなじ。<住む人もこれと同じだ>(『方丈記』)
「夜を日につぎて」<夜を日に次いで>(『徒然草』241段)

(六)原因・材料・手段などを示す。「暑さにばてる」「餓えに苦しむ」。「ーのために」「ーによって」の意。

例:
朝日に枯れぬ。<朝日に枯れてしまう>(『方丈記』)
家居にこそ、ことざまはおしはからるれ。<住宅によってその主人の人柄が分かる。>(『徒然草』10段)

(七)内容・状態などを示す。「ーとして」の意。「ほうびにもらう」

例:
葦の値に取らせよ。<葦の料金として取らせよ>(『大和物語』148段)

(八)受身・使役の相手を示す。「風―吹かれる」「友人に言わせる」

例:
宣耀殿の女御にならはさせ給ければ、<宣耀殿の女御にお習わせになったので>(『栄花物語』月の宴)
人に知らせでやみ給ひて、<世間に知られないようにお止みになって>(『大和物語』103段)

(九)同じ動詞を重ねて、意味を強める。「待ち―待った」

例:
「ひた斬りに斬り落としつ」<めった斬りに斬り倒した>(『徒然草』87段)
泣きにのみ泣き給へば、<ただ泣いてばかりなさるので>(『源氏物語』柏木)
 

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