絵巻詞書集

 前九年合戦絵詞
第三段

第二段→ 


或年あるとしの九月九日に貞任さだたう五百余騎よき夷賊いぞく相具あいぐし
出来いできたり陣牒ぢんてう使つかひをたてたり詞云ことばにいはく今日はことに
菊酒きくざけくみ興宴けうえむをいたすべき日也きみ当国たうこく
刺史しし也貞任等はその中の黔首れいしゅ節供せちくしんぜしめん
がために参向さむかうするところ也と後藤内則明ごとうないのりあきらその返事に云
汝達なむだち節供せちくを進ぜしむべきよし聞食きこしめす兼日けむじち飲失のみうしなふ
き支度あり早々さう/\持参もてさむずべき也とその時貞任宗任
良昭りゃうせうよろこびをうち軍呼いくさよばひして襲来おそひきたる御方おなじく
うち時をつくり寄よせむかひ合戦かせんす巳みの時より箭合やあはせとりの時に
いたり乱入みだれいるつるぎあはせ合戦かせんすれども勝負せふぶなし貞任が方
死者しぬるもの百余人きずかぶる者九十余人御方みかたしぬる者八十
余人きず被者かぶるもの六十余人也

Vertical layout provided by htvR.js