絵巻詞書集

 伴大納言絵詞
下巻第一段

  ←下巻第二段

中巻第二段→ 


このいさかひをみるとてさとなりの
ひといちをなしてきければいかにいふ
ことにかあらむとおもひてあるはめこに
かたりつぎ/\かたりちらしていひさ
はぎけれげよにひろごりておほ
やけまできこしめしてこのとね
りをめしてとはれければはじめは
あらがゐけれどもわれもつみかぶ
りぬべくとはれければあのくだりの
ことをまうしけり


【読み下し】
この諍ひを見るとて、里隣の
人、市をなして聞きければ、いかにいふ
ことにかあらむと思ひて、あるは妻子に
語り、つぎ/\語り散らして、いひ騒
ぎけれげ、世に広ごりて、公
まで聞こしめして、この舎人
を召して問はれければ、はじめは
抗ゐけれども、われも罪蒙ぶ
りぬべく問はれければ、あの件の
ことを申しけり。