絵巻詞書集

 後三年合戦絵詞
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武衡は国司追帰されにけりとききて陸
奥国より勢をふるひて出羽へこえて家
衡がもとに来ていふやうきみ独身の
人にてかばかりの人をかたきに得て
一日といふとも追帰したりといふ名をあ
ぐること君ひとりの高名にあらずすでに
これ武衡が面目なり此国司よおぼえ
昔の源氏平氏にすぎたりしかるをかく
おひかへし給えることすべて申かぎり
にあらずいまにおきては我もともに
おなじこころにてかばねをさらすべしと
いふ家衡これをうけよろこぶことかぎり
なし郎等どももいさみよろこぶ武衡が
いふやう金沢の柵といふ所ありそれは
これにはまさりたるところなりといひ
て二人あひぐして沼柵をすてて
金沢にうつりぬ