絵巻詞書集

 長谷雄草紙
第四段

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かくて八十日ばかりになりにければいまは
日数もおほくつもりぬかならず百日とし
もさすべき事かはとたえがたくおぼえて
したしくなりたりければすなはち女
水になりてながれうせにけり中納言くひ
のやちたびかなしめどもさらにかひなか
りけり

【読み下し】
かくて八十日許りになりにければ、今は
日数も多く積りぬ。必ず百日とし
もさすべき事かはと、堪え難く覚えて
親しくなりたりければ、即ち、女、
水になりて流れ失せにけり。中納言悔ひ
の八千度悲しめども、更に甲斐なか
りけり。