絵巻詞書集

 平治物語絵巻
六波羅行幸巻第一段

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主上又六波羅へ行幸なる女房の姿をかりて
御かづらめしかさなりたる御衣をたてまつる
北陣に御車をまうけてのせたてまつる中宮も
おはします朔平門をかためたる武士どもと
申せば惟方卿すみいで女房のいでらる
おぼつかなくおもふべからずとの給ひけれども弓の
はずにて御車の簾をかげて火をふりあげて
みたてまつるに女房どもにておはしましければ
いだしたてまつる神璽宝剣も御車にいれられにけり
玄上鈴鹿は成頼これをとり出てわたされぬ内侍所
をばかきいだしたてまつ覧としけるを正清が郎等
みつけてをひとめたてまつる経宗惟方直衣
にかしはばさみにて御共に候はるかねて用意し
たる事なれば頼盛重盛已下の兵の数百
騎御むかへにまいりたり其時こそたのもしく
思食されけれ