絵巻詞書集

 地獄草紙
毘沙門天王

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山林のなかに法華の持者ありて、
大乗の義を思惟するところに、
鬼神、とびきたりて、これをなや
まさんとす。そのとき、毘沙門天王、
仏法護持のゆへに、かたてやを
はけて、そのむろのまへにかけりて、
鬼神をいる。鬼、やにあたりて、地に
おちてかなしむ。
【読み下し】
山林の中に法華の持者ありて、
大乗の義を思惟する処に、
鬼神、飛び来たりて、此を悩
まさんとす。其の時、毘沙門天王、
仏法護持の故に、片手矢を
矧けて、其の室の前に駆りて、
鬼神を射る。鬼、矢に中りて、地に
堕ちて悲しむ。