絵巻詞書集

 地獄草紙
勘当の鬼

毘沙門天王→ 


勘当の鬼、かなしみをたれて、僧を
いたゞきながらはしれども、つひに僧
をすてつ。わがみをなきになして、
にげまどふ。そのくるしみ、たえがたし。
【読み下し】
勘当の鬼、悲しみを垂れて、僧を
頂きながら走れども、終に僧
を捨てつ。我が身を無きになして、
逃げ惑ふ。その苦しみ、耐え難し。