絵巻詞書集

 蒙古襲来絵詞
下巻・第十一段

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同五日関東の御つかひがうたの五郎とをとしあむど
うの左衛門二郎しげつな払暁にはせきたりしに季長
ゆきむかて海上をへだて候あひだふね候はで
御大事にもれ候ぬとおぼえ候と申にがうたの
五郎兵船候はではちからなき御事にこそ候へ
と申ところに肥前国の御家人其名わするたかし
まのにしの浦よりわれのこり候ふねに賊徒あ
またこみのり候をはらひのけてしかるべき物
どもとおぼえ候のせてはやにげかへり候と申
に季長おほせのごとくはらひのけ候は歩兵と
おぼえ候ふねにのせ候はよきものにてぞ候らん
これを一人もうちとめたくこそ候へと申
にがうたの五郎異賊はやにげかへり候と申候
ぜいをさしむけたく候と小弐殿へ申べしとて
使者をつかはすに肥後国たくまの別当次郎
時ひで大野小次郎くにたかそのほか兵船まはし
たりし人々をひかるといへども季長が兵
船いまだまはらざりL程にせんばうをうしなひ
しところに連銭の旗たてたる大船をしきたり
しをがうたの五郎城次郎殿の旗とおぼゆるゆき
むかてみよLとて使者をつかはすこのふねに
のりておきのふねにのらむとまへをたてつかひ
のふねにのらむとせしにのせざりしをもて守護
の御ての物に候御兵船まはり候はのりて合
戦すべしとおほせをかぶりて候と申にのせ
られておきのふねにのりうつるにこたへ
の兵部房めしの御ふねに候御ての人よりほか
はのすまじく候おろしまいらせよと中てしもべ
をもてせきおろさむとするを
君の御大事にたち候はむためにまかりのり
候をむなしくうみにせきいれられ候はむ事その
せむなく候はし船を給候ており候はむと申に
おるべきよしおほせらるうゑは狼籍なせそ
と申に物どものきしひまにかのふねにのる