絵巻詞書集

 直幹申文絵詞
第一段

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□□□の御時、長門守長盛が□□□章
博士橘直誇といふ儒者ありけり。風月にたくみなり
けれども、官はすさまじく文章にはとめりし□
ども、家はまづしくして、顔淵がちまたにをなじ
く、閨はあめもりて、原憲がとぼそ□□□
りけり。わづかに民部大輔をのぞみ申とて、み
づから申文をぞかきける。
【読み下し】
の御時、長門守長盛が□□□章
博士橘直誇といふ儒者ありけり。風月に巧みなり
けれども、官は凄まじく、文章には富めりしか
ども、家は貧しくして、顔淵が巷にをなじ
く、閨は雨漏りて、原憲が枢□□□
りけり。僅かに民部大輔を望み申と固て、み
づから申文をぞ書きける。