絵巻詞書集

 直幹申文絵詞
第二段

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比申文を少野道風に清書をあつらへて、職事に
つけて奏聞したりければ、御門心にくゝやおぼし
めしけん。御てづからとりてひらき御覧ぜられける
程に、「人によりて事ことなり」とかけるところにい
たりて、申文をさしをかせ賜て、天気こゝろよからざり
ければ、人/\おそれ思けり。
【読み下し】
此申文を少野道風に清書を誂へて、職事に
付けて奏聞したりければ、御門心憎くや思し
召しけん。御手づから取りて開き御覧ぜられける
程に、「人に依りて事異なり」と書ける所に至
りて、申文を差し置かせ賜て、天気快からざり
ければ、人を懼れ思けり。