絵巻詞書集

  小野雪見御幸絵巻
第三段

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女院、女房をして紅の錦包みを、松の折枝につけて院に贈る
童かへり入にければ、又、裳唐衣すがたなる女房、あふぎさし(て)、
ありつる所よりあゆみいでゝ、松の枝にくれなゐにてつゝみ
たる物をつけて、雪のうへにおりて、御車のもとへまいりける。
おりしも、雪いたうふりて、此松の枝にふりかゝりたりけ(り)。
いとく興ありて、目出かりけり。かくて御かへりありけり。
【読み下し】
童帰り入りにければ、又、裳唐衣姿なる女房、扇差し(て)、
ありつる所より歩み出でゝ、松の枝に紅にて裏み
たる物を付けて、雪の上に降りて、御車の許へ参りける。
折しも、雪いたう降りて、此の松の枝に降りかゝりたりけ(り)。
いと/\興ありて、目出たかりけり。かくて御帰りありけり。